昨日は地元の同業者で集まって飲んできました。
僕はこの業界に長く居るということと、なんとか東京で生きてるってこと以外にあんまり提供できるネタもなく、若くて前線でやってる人たちの話を聞けるのはとても楽しい機会です。
さてその話の中で気になったのは見積もりのこと。
参加者の一人の方が実際の案件の条件を説明して、これいくらで見積もり出します?と言われたので、非常にざっくりではありますが「◯◯万を割ることはないですかね…」と言うと「えっ?!」という反応。
僕の提示した価格は少し高かったようですが他の方もそれなりの価格を言って、その方は「えー……」という反応。
実際にその方が受注した額を聞くと、僕の提示した額の三分の一以下でした。
その方は優秀な制作者で、少なくとも僕よりはるかにスキルレベルは上です。状況により受注額がある程度変わってしまうのはフリーランスであれば仕方のないことではありますが、それでも僕から見たら異様に安い額に思えました。
それを発注した方や一緒にやっているデザイナーさんと僕個人はよく知った仲ではないですが、名刺交換程度でお話ししたことはあり、不当な金額で下請けをこき使うタイプではないように思えたので、その金額にはちゃんと根拠や理由、事情があるのだろうとは思いますが、それでも、この方の仕事のクオリティなどを考えると、安すぎる…ような気がします。
ウェブ業界の受注金額は本当にピンキリで、僕程度で上に書いたような見積が出せるのは今一緒にやってるパートナーさんがそこを頑張ってくれているからで、そう考えると僕はとてもラッキーなほうなのかもしれません。
超超超大手代理店のひ孫請け案件などをやった際、仕事はまるで奴隷のようでしたが、価格的にはその扱いに見合う金額をいただくことができて結果としては満足したのですが、その上流工程では、ひとつ上に上がるたびに「桁」が違ったのだと後で聞く機会があって、価格ってなんだろう、見積ってなんだろう、とそのときにも思いました。
「仕事の内容」ではなく「立場」で価格が変わってしまことに慣れて、そこを深く考えることは減ってきてしまいましたがよく考えたらおかしなことで、僕らのようなデジタルデータを作成する業界では見積もりの基本となるのは主に人件費なわけで、商品の材料等、原価が明確に存在する業種に比べると削ろうと思えば企業努力と称していくらでも削られてしまうという性質がどうしてもネックになってきている気がします。
何かを作るにはそこまでに積み上げた知識や技術が必要で、それを積み上げるために費やした時間がちゃんと見積額には乗るべきだと思います。
お客様が知らないから出来ないことを代行するのに、既に技術があることを前提に「あなたなら簡単にできるんだから安くでいいじゃない」とされてしまうことは多いですが実際には「お客様自身がそれをゼロから勉強してできるようになるまでの全てのコスト」が、代行にあたって支払われるべき価格だと思います。もちろん、多くの案件をこなすことでそれを分割払いのようにペイしていくという考え方で、一件一件が安くなるのはいいとは思うのですが。
なんとなくつらつらと書いてしまいましたが、この業界あまりにも価格が水物すぎるよなあ、と改めて強く感じた夜でした。